ミステリー「ロンドン謎解き結婚相談所」を読みました

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ロンドン謎解き結婚相談所   アリスン・モントクレア (著), 山田久美子 (翻訳)  創元推理文庫

舞台は戦後まもない1946年のロンドン。戦時中にスパイ活動の訓練を受けていたアイリスと、戦争未亡人で息子を持つ上流階級婦人のグウェン。対照的な二人は、自分たちで部屋を借りて結婚相談所を開いた。

そんななか、とある若い美女が入会し、誠実な会計士を紹介したところ、その女性が殺され、会計士の青年が逮捕されてしまう。結婚相談の面談をした主人公二人は、彼が犯人ではないという確信から、能力や人脈を駆使して真犯人捜しに乗りだす。

事件がきっかけで、「結婚相談所」が、性格や体形が正反対の凸凹女性コンビの「探偵事務所」になってしまうのだった。

戦後間もない時代が背景なので、すべてについてアナログなのがかえって斬新で、焼け跡のロンドンの人びとの生活や戦争の傷を持つ人や闇にうごめいて人生を切り拓こうとする人間が絡み合ったエピソードが重なり合っていて面白い。

女性二人の会話に突然「元カレ」ということばが出てきて、当時と合わない現代的な翻訳も端的でわかりやすくて不思議な感じもする。いずれにせよ、主人公二人の女性は溌剌としていて戦後の自由と平和を享受するだけでなく、本業の結婚相談所で英国の復興のお手伝いをしつつ自分たちで自立の道を探ろうとしている。

この魅力的な二人の女性主人公を作り出した著者は、この一作を皮切りに「ロンドン謎解き結婚相談所」シリーズを始めたのだそうで、すでに次回作の原作は出版されているようだ。

私は楽しめたが、女性による女性のためのミステリだともいえる作品で、たまには翻訳小説も読んでいただきたいと思うのであった。