しあわせの径~本とアートと音楽と

読書、アート、音楽、映画・ドラマ・スポーツなどについてさくっと語ります

ドーターたちが作った深くて重い映画「ロスト・ドーター」を楽しみました

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休暇中の主人公 レダオリヴィア・コールマン

映画「ロスト・ドーター」をNetflixで観ました。
予告映像での短いシーン、浜辺での中年女性二人の会話が印象的だったので観ることにしました。

見終わってから、アカデミー賞ゴールデングローブ賞などに、脚色(原作のある脚本)、監督、主演女優、助演女優部門に本作品がそれぞれノミネートされていることも知りました。

ギリシャの海にバカンスで訪れた大学教授のレダオリヴィア・コールマン)。彼女は独りでバカンスに訪れたのだが、浜辺で騒がしい大家族に遭遇し、ちょっとしたトラブルになります。

しばらくはそのファミリーと同じ浜辺で休暇を過ごすことになるのですが、その家族をじっと見つめるうちに、レダは自分の子どもたち(二人の娘)が幼かったころのことを思い出すのでした。

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若い頃のレダジェシー・バックリー)

せっかくのバカンスに、過去の子育ての辛いことをレダは思い返すことになります。しかし、潜在的にはいつも過去の自分、母親としての自分のありようは正しかったのだろうかということに囚われているように思えます。

そして、その海辺のファミリーの母親が目をはなした隙に幼い女の子が行方不明になり、浜での大捜索が始まりレダもそれに加わることになります。

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ファミリーの若い母親(ダコタ・ジョンソン

監督は女優のマギー・ギレンホールで、原作をもとに彼女が脚色も手掛けていて、穏やかな秀作に仕上げています。

監督・脚本・原作・主演・助演など女性が中心となった映画で、みな個性的で素晴らしい人たちだと思います。みなが母親ではないと思いますが、少なくとも彼女たちは「ドーター」なわけで、母親が存在するわけです。

そういう意味では、女性から生まれなかった人間はいないにもかかわらず、そのことについて忘れているようで(忘れているふりをしている?)、なかなか深くて重いものが本作には横たわっています。

映画の途中で、主人公のレダに、ふと瀬戸内寂聴さんを思い出しました。

バカンスを楽しむような心地で本作を観ることはできないかもしれませんが、世のドーターのみならず誰かの息子たちにもおすすめの一作でありました。

 

【各賞ノミネート状況】
全米映画俳優組合    
主演女優賞    オリヴィア・コールマン

英国アカデミー賞    
助演女優賞    ジェシー・バックリー
脚色賞    マギー・ギレンホール    

アカデミー賞    
主演女優賞    オリヴィア・コールマン
助演女優賞    ジェシー・バックリー 
脚色賞    マギー・ギレンホール

 

ロスト・ドーター The Lost Daughter
監督・脚色 マギー・ギレンホール(「ダークナイト」出演)
原作    エレナ・フェッランテ『La figlia oscura』
出演者    
オリヴィア・コールマン(「女王陛下のお気に入りアカデミー賞主演女優賞
ジェシー・バックリー
ダコタ・ジョンソン(「サスペリア})
エド・ハリス(「アポロ13」)
配給    Netflix
公開    2021年12月17日(劇場公開)
上映時間    121分
製作国    アメリカ,イギリス,イスラエル,ギリシャ