しあわせの径~本とアートと音楽と

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ケネス・ブラナーとアダム・ポールソンが演じる「2つの時代のヴァランダーシリーズ」

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第94回アカデミー賞で作品賞を含む7部門にノミネートされた「ベルファスト」が、いま全国の上映館で公開されています。

この作品の脚本監督を手掛けたのが英国俳優でもあるケネス・ブラナーで、アカデミー脚本賞を見事受賞しています。

そのケネス・ブラナーが主演しているドラマが「刑事ヴァランダー」で、 スウェーデンの作家ヘニング・マンケルの「クルト・ヴァランダー」シリーズをイギリスのBBCがドラマ化したものです。

英語ドラマですが、撮影地はスウェーデンで、しっとりと落ち着いたスウェーデンの大地を主人公の運転するボルボが駆け抜ける光景がとても印象的です。

「刑事ヴァランダー」は、2008年から2016年にかけて4シーズン全12作がすべてケネス・ブラナーが主演で製作されました。私はそのすべてを見ましたが、現在はAmazonPrimeVideoで見られます(一部レンタル)。

その「刑事ヴァランダー」が制服警官から刑事になりたての頃を扱ったドラマが、いまNetflix(オリジナルドラマ)で配信されている「新米刑事ヴァランダー」です。

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2020年9月に製作されたシーズン1(6エピソード)が配信されていて、さらに2022年の最新作シーズン2「殺人者の顔」(6エピソード)として配信されています。若きヴァランダー役はアダム・ポールソンが演じます。

ヴァランダーは、若いころからいわゆる「どんくさい」刑事で、BBCのシリーズドラマのモース警部(原作コリン・デクスター)とちょっとクロスオーバーするところがあります。

私はヘニング・マンケルの初老の頃のミステリ小説であるヴァーランダーシリーズをほとんど読んでいますが、このドラマはその頃より30年くらい前の彼が妻と出会った新米刑事時代の犯罪を扱ったものです。

仕事や私生活の悩みや葛藤と凶悪な犯罪者からのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら職務を遂行しようとする静かなる男がスリリングにうまく描けていると思います。

刑事ヴァランダーは妻と出会った若い頃の彼も、妻と別れて時々帰ってくる一人娘のことを案じながら暮らす初老の彼も、あまりマッチョでもないしスマートでもないけれど普通の市民生活を脅かす悪と真っ向勝負で戦うところに親近感を感じます。

ヴァランダーシリーズに限らず、北欧ミステリ(ドラマや小説)の主人公は男であれ女であれ、静かなたたずまいに隠されている内なる情熱と勇気が良い仕事をしてくれるので心が豊かになり、彼らのとりこになってしまいます。

ぜひケネス・ブラナーとアダム・ポールソン双方の「ヴァランダーシリーズ」をお勧めリストに加えてくださいませ。