しあわせの径~本とアートと音楽と

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妄想ブックレビュー「スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか」

最近、タイトルを見ただけで興味をそそられる本が目白押しで、次々に読んでみたい本が書評などにあがってきます。

しかし、私の読書速度ではとてもすべてを読み切れませんので、タイトルとサブタイトルだけで本書の中身を想像してブックレビューをしてみたいと思います。

タイトルだけで妄想する仮想ブックレビュー。その1

気になったタイトルの本は
スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか    島沢優子    文藝春秋    1,540

【以下、読まずに想像レビュー】
そろそろ夏の高校野球の予選が始まるが、17歳の才能ある少年が甲子園に出場するには高校の野球部に属していなければならない。

日本のプロ野球選手、とりわけ名選手たちの99%は、甲子園出場を目指して高校の野球部に属していたはずだ。必ずしもみなが甲子園のグランドの土を踏めたわけではないが、甲子園を目指して努力をしていたはずだ。そして今では、彼らは高校生になるまでは早くから硬球(硬いボール)に慣れるためにリトルリーグなどに所属するクラブチームに所属することが一般的だろう。将来を嘱望されている才能ある子どもたちは、小学生の頃からクラブチームに所属するケースが最も一般的だろう。

スポーツは野球に限らず、才能ある子どもたちは高校生になるまでは、そのスポーツを専門とするクラブチームで元五輪選手などの一流コーチの下で技術を磨き体力をつけるとレーニングを積み重ねている。

野球なら日本プロ野球NPBや大リーグMLBの選手になれば、年収が1億円から50億円もらえることが約束されているので(テニス・サッカー・ゴルフ・バスケ・レーサーなども超一流なら同じくらいの年収か)、親にしてみれば自分の子どもの才能があると感じたらスポーツコーチに子どもを「差し出す」ことになるのだろう。その時からただの親が「毒親」に変身するのだった。

結果的に子どもたちを暴力や性虐待によって傷つけてしまった原因を作った親だから「毒親」ということになってしまうのだ。子どもたちをスポーツコーチに無防備に「差し出した」からなのだ。

etflixのドキュメンタリーでアメリカの体操界で大きな不祥事があったことを知ったが、日本でも事件になった女子柔道をはじめ、私たちが時々そのようなニュースに接することで、スポーツ指導者によるセクハラや暴力行為がいまだに存在することが容易に想像できる。高校生になる前のスポーツクラブでもそういう実態があるのだろう。本書ではその実態が、しっかり調べられてはっきり書かれている(はず)。

そもそも、いまの学生スポーツの監督やコーチは経済活動の一環としてスポーツ界に身を置く身なのだ。

プロの世界に選手を送り出せば、選手への契約金以外に指導者への謝礼が一般的だし、その謝礼が契約金の〇%となればモチベーションはぐんと上がるし、時には鉄拳制裁という暴力ではっぱをかける。実績を積んだ指導者なら全国から子どもたちが集まってくるという好循環になるという具合だ(日常的な月謝でも潤うことは言うまでもない)。

また、熱血指導者の一方でセクハラ指導者がいることも事実で、男の指導者による女子選手へのセクハラがもっとも一般的なセクハラだろうが、男の子の被害もその例外ではないので親としては気をつけたい事なのだ。

そういう指導者は、スポーツだけではなくいろんな世界に出没するが、生身のからだを使い選手を洗脳できるスポーツのセクハラ指導者にとっては容易にその行為をなすことができる。

そういう事情を知ってか知らずか、毒親はファミリー全体の幸福を運んでくれる金の卵として子どもたちを指導者に差し出すのである。

スポーツは心身の健康のためにやるものであって、プロスポーツの世界は少し次元が違う世界なので、自然体でスポーツに向き合うのが一番幸せへ近道だろう。子ども自身が、プロの世界へ進みたいと言い出す前にスポーツをはじめてさえいれば何とかなるのだろうが、他の世界でも同じことだが、さまざまなことを想定して親が注意していないと早いうちから子どもたちは遠くへ行ってしまうことになるだろう。

そんなことが書かれた本書だと妄想したが、若い親御さんに是非読んでいただきたい一冊である。