
8月になった今の上高地は、連日30℃近い暑さのようですが、Youtubeで河童橋のライブ映像を見ると涼をもとめた多くの観光客が訪れています。
いま「アルプス席の母」(早見和真著)という甲子園を目指すファミリーを描いた高校野球小説を読んでいます(ほぼ読了)。その本のレビューは後日ここで書くつもりですが、甲子園球場の「アルプススタンド」は、5日から始まる高校野球で連日超満員になることでしょう。
今年は阪神タイガースがペナントレースをぶっちぎりで走っていて、高校野球でなくともアルプススタンド(年間シートは発売されていない)は超満員でキップが取れない状況が続いていると思われます。
というか、阪神が強かろうが弱かろうがいまの甲子園は、席が取りにくい状況なんですがね。
ところで、「アルプススタンド」の名付け親は誰かご存知でしょうか。夏の甲子園の主催者、朝日新聞によると
「高校野球の聖地」とされる甲子園球場では、1929年(昭和4年)、中等学校野球(現:高校野球)の人気により増え続ける観客を収容するための工事が行なわれ、外野のファウルゾーン東西の20段の木造スタンドが、50段の鉄筋コンクリート製へと改修された。
大阪朝日新聞で漫画を連載していた岡本一平氏(芸術家・岡本太郎氏の父)は、白いシャツを着た観衆と大きなスタンドを壮大な雪の山脈にたとえた。
「素敵ニ高ク見エル、アルプススタンドダ、上ノ方ニハ萬年雪ガアリサウダ」

昭和初年だと、夏の服装は白が定番で、新しくできたそそり立つスタンド席は座る人たちの白シャツで全面真っ白で、まさに雪の「アルプス」のようだったでしょうから、素晴らしいネーミングです。
ただ、甲子園のスタンドを「アルプスみたいだとボクが現地で言った言葉を(父の)一平が漫画にしたのだ」と岡本太郎が生前語っていたと記憶しているのですが、それはありそうなエピソードだと思うわけで、私は「アルプススタンド」の名付け親を岡本太郎だと信じています。
甲子園球場は、今年の秋以降アルプススタンドにも大屋根(銀傘)を設ける工事を始めるそうで、応援団の熱中症対策に一歩踏み出すことのようです。
甲子園がドームになればいいのですが、阪急・阪神ホールディングの株主総会でそのことを質した株主に、「甲子園のいまの敷地面積ではドーム化は不可能でございます」という回答だったようで、「いま鋭意、甲子園球場周辺の土地を買収中です」という話はなかったようです。残念。
ということで、汗と涙と熱気に支配された一番暑いアルプスのお話でした。

