しあわせの径~本とアートと音楽と

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「ベター・コール・ソウル」6シーズン63話 一気に楽しみました

Netflixで「ベター・コール・ソウル」を全編見ました。久々の、米国ドラマでしたが長く楽しめました。

3年前、どうしても「ブレイキング・バッド」が見たくてNetflixに加入したのですが、その「ブレイキング・バッド」に登場するクセのある胡散臭い弁護士がソウル・グッドマン(本名ジミー・マッギル)でした。そのソウル・グッドマンを主人公としてスピンオフドラマ「ベター・コール・ソウル」が製作されました。

じつはソウル・グッドマン(以下、ジミー)はあまり好きではなかったので、このドラマはなんとなく敬遠していたのですが、全エピソードが完成したこともあって、途中でぶん投げることも想定に挑戦してみました。

ジミーがなぜあんなに胡散臭くなってしまったのかが分かる、彼の若いころからのエピソードから始まります。

彼の兄チャック・マッギルは、素晴らしくできの良い有名な弁護士で、仲間3人と共同で大きな弁護士事務所を経営していて、若いジミーはその事務所の郵便室で下働きをしていました。弁護士事務所のヒエラルキーで言うと、兄が頂点にいて弟が底辺にいるという構図で、その最初の設定でこのドラマのすべてが俯瞰できる構図となっています。

そして、同じ郵便室にいたキム・ウェクスラーという女性は、晴れて弁護士になって、ピンヒールを履いて兄の事務所で働くようになります。その同僚のジミーも何とか弁護士になり、ネイルサロンの片隅の狭くて汚い事務所で弁護士稼業を始めます。

ということで、人生のパートナーであるジミーとキムは共に弁護士なのですが、それぞれ心に傷を持っていて、社会の底辺の人たちの弁護活動に目を向ける立派な精神を持っています。とりわけ、ジミーはテレビのCMをうまく利用して有名になり、誰でも相談できる弱者の味方となる弁護士として頭角を現してきます。

芽が出なかったジミーは、ついに忙しい毎日を送ることになるのですが、やがてドラッグを扱う組織とかかわりを持つようになり、マネーとリスクの双方を併せ持つ弁護士になっていきます。

ニューメキシコ州アルバカーキという砂埃が立つ街に住む、恵まれない生い立ちからいわば底辺を知っている人間味あふれるジミーとキムという男女の弁護士。この二人の魅力・人間力がが本作の真骨頂で、その周辺にはスマートな人たちやとんでもない人たちがちりばめられていて、飽きさせない物語が続いていきます。この「とんでもない人たち」は、ネトフリのドキュメンタリーを見ていると、決して想像上の人たちではないこともよくわかっています、私。

本作は、同じ弁護士を扱ったクールなドラマ「SUITS/スーツ」とは対極にあるものですが、「SUITS/スーツ」が好きなわが妻も、時々顔をしかめながら「ベター・コール・ソウル」を全話楽しんでいました。

以上、「ブレイキング・バッド」が見たくてネトフリと契約しましたが、その兄弟ドラマ「ベター・コール・ソウル」と嬉しい出会いがあったというお話でした。

6シーズンで63話、それくらいじっくり練った脚本と、余裕のある撮影スケジュールでないとこういう面白くて良いドラマは生まれないのだなあということなのであります。

http://www.superdramatv.com/line/bettercallsaul/cast/detail.html