私の住む地元の図書館は、分館などのネットワークも含めて充実した蔵書があると思っています。
全国の図書館蔵書数は約4億2千万冊で、人口1人あたり3.3冊なのだそうですが、うちの図書館は人口1人あたり4.5冊くらいの蔵書数ですし、私が望む書籍が存在していないことは、ほとんどないという充実度です。
市が開示している図書館協議会の会議録によると、年間の貸出冊数でいうと人口1人あたり11冊くらいになりますから、図書館というのは生活と切り離せないとても重要な公共施設だと思います。
私が図書館の貸出を利用し始めたのは定年退職した後で、ここ10年近くは、ほぼ書籍を買わない生活を続けています。
そんななか、さきほど文科省が全国の公立・学校図書館に「拉致問題の関連本の充実」を求める依頼文を出したというニュースを目にしました。
https://digital.asahi.com/articles/ASQBW4WBNQBFPTIL001.html
これは、焚書や検閲にも近いお上からの強権発動ではないでしょうか。公共図書館の自由と自主独立性を破壊する思想弾圧にも似た暴挙だと思います。
住民の「こんな本を置いて欲しい」といった声を図書館の本を買うための協議会のようなところで取り上げるのならまだしも、今回の文科省の依頼文は、あってはならない官僚の態度表明だと思います。きっと抗えない政治家からの指示・命令に従ったのでしょうが、まだあの戦争を繰り返すことになっているお国なのであります。
ちなみに、充実している蔵書のわが図書館に、ヒトラーの「わが闘争」があるかどうか検索してみたら、2冊ありました。
角川文庫の「わが闘争(上・下)」(アドルフ・ヒトラー 著)と、イースト・プレスの「まんがで読破 わが闘争」(ヒトラー 著)の2冊でした。
こういった、私にとっては紙くずのような本を置くことも含めて、図書館の自主独立性は守らなければならないわけで、文科省が公立の図書館に「拉致問題の関連本」を置けとか「ヒトラー称賛本」を置くなと言ってはいけないのであります。
それが公共というものであり、政府が守るべきものであります。
ついでに言うと、図書館で個人のデータ、つまり個人の貸出データについて秘密が守られているかということも、私は懸念するものであります。
2019年に鹿児島で、図書館が警察に個人情報を提供していたというとんでもないニュースがありましたが(冒頭の画像)、犯罪捜査以外に個人の思想調査をするのは憲法違反ですし、そもそも貸出した書籍で思想調査はできません。なぜなら、個人が反対思想の本を読むということもあるからです。なので、過去にあった各地の図書館データによる思想調査は、そういうことが想像できない人間によるバカげた行為なのです。
図書館が警察に利用者の個人情報を提供していた - Togetter
個人が借りた本により個人の頭の中を特定しようという動きが、自治体が扱える図書館データによりで容易に可能になることに心を留めておきたいと思います。私の住む大阪府政は「大阪維新」が司っていることもありますので、いま一つ信頼できないというかなんというかムニャムニャ...なのであります。