しあわせの径~本とアートと音楽と

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共和党副大統領候補J.D.バンスの原作映画「ヒルビリー・エレジー」を観ました

共和党大統領候補のトランプが指名した副大統領候補は、オハイオ州選出の上院議員J.D.バンスです。

当初はトランプに批判的だったバンスは、結局トランプの後ろ盾を得て上院議員になり、副大統領候補に上り詰めました。

そのバンスの自伝的小説「ヒリビリー・エレジー」の映画版「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」をNetflixで見ました。(映画では主人公は「J.D.ヴァンス」で登場)

 

オハイオ州で生まれたバンスは、貧困家庭に育ち、高校を卒業後兵役に就き、それで得た金でオハイオ州立大学に入学し、その後イェール大学で博士号を取得しました。

その半生を描いた自伝は米国でベストセラーになったようです。

白人でありながら都会のエスタブリッシュメント(支配階級)からはヒルビリー(貧しい田舎者)と呼ばれるような苦学生の半生は、フィクションのような壮絶な実話を基調としたドラマでした。

現在バンスは39歳という若さですが、彼のベストセラーになった自叙伝の映画化権は4500万ドル(約70億円)でNetflixが獲得しましたし、将来副大統領や大統領になるかもしれませんから、アメリカの貧困層生まれの白人としてのアメリカンドリームを象徴するような存在と言えましょう。

映画では恋人時代のバンスの妻も描かれていますが、彼女はインド系のアメリカ人ですから、バンスのキャリアは、選挙戦では全方位に有利な有効な状況かと思えます。

だからこそ、富裕層の出身で白人の大富豪であるトランプに欠けた部分を補えるに、絶好の副大統領候補なのかもしれません。

日本のような島国と異なり、アメリカは広大な土地にあらゆる人種がさまざまな階層にスクランブルに息づいている国ですから、面白いというか刺激的な人生ドラマが多く生まれるのだと思います。

バンス自身と彼の家族の危なくてネガティブな情報が、映画全体に所狭しと転がっていて、これが日本だったら「副大統領候補」としてバンスはSNSで卑下され馬鹿にされ炎上しまくるだろうと思うのですが、アメリカは熟成されたある意味すごいお国柄で見習いたい羨ましい部分であります。

ということで、縷々申し上げてきた余計な事前情報を無視して見たとしても、主人公バンスの周辺の女たちが女優たちの名演・力演に支えられていて、バンスの母、祖母、姉、恋人たちのエピソードや生き方に哀しみとともに感動をおぼえるのでありました。

 

【映画の基本情報】

ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌
Hillbilly Elegy
監督    ロン・ハワード
脚本    ヴァネッサ・テイラー
原作    J・D・ヴァンス
(「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」より)
製作    ブライアン・グレイザーロン・ハワード
出演者    エイミー・アダムスグレン・クローズ、ガブリエル・バッソ
音楽    デヴィッド・フレミングハンス・ジマー
配給    Netflix
公開    2020年11月24日
上映時間    115分