将棋の王位戦第5局で、藤井聡太王位(20)が挑戦者の豊島将之九段(32)を下し、シリーズ4勝1敗として3度目の防衛を果たしました。
今期の王位戦は、豊島が第1局を制しましたが、その後藤井王位が4連勝して、2020年に王位を獲得して以来3連覇としました。
これで王位3期のほかに、竜王1期、王将1期、叡王2期、棋聖3期のトータル10期の優勝回数となり、これは史上9位にランクされます。
タイトル戦記録
棋士名 優勝 敗退 率 対局数 勝数 負数 勝率
1 羽生善治 99 38 0.723 663 412 249 0.623
2 大山康晴 80 32 0.714 575 344 229 0.600
3 中原誠 64 27 0.703 476 282 191 0.596
4 渡辺明 31 11 0.738 204 124 80 0.608
5 谷川浩司 27 30 0.474 285 145 137 0.514
6 米長邦雄 19 29 0.396 241 105 135 0.438
7 佐藤康光 13 24 0.351 190 82 108 0.432
8 森内俊之 12 13 0.480 125 58 67 0.464
9 藤井聡太 10 0 1.000 41 35 6 0.854
タイトル獲得数の歴代記録は、上の一覧のように羽生善治の99期を筆頭に、大山康晴の80期、中原誠の64期がベスト3となります。
藤井五冠は、まだタイトル戦に10回登場しただけですが、シリーズ10勝とまだ負け知らずで、勝敗の内訳が35勝6敗、勝率0.854と、歴代ランカーの勝率と比較しても突出しています。
とりわけ、持ち時間8時間以上の2日制のタイトル戦は、20勝2敗(1日制は15勝4敗)となっていて、時間がたっぷりある長丁場の対戦は藤井五冠の独壇場となっています。
2日制のタイトル戦は、すでに藤井五冠が保持している竜王・王位・王将と、あとひとつ名人の、合計4つのタイトルになります。まだ未挑戦ですが名人のタイトル戦に登場することになると、渡辺明名人(38)は厳しい戦いを強いられることになりそうです。
2年連続王位戦の挑戦者になった豊島九段は、途中でコロナに感染したり大変でしたが、その実力と強さを十分に発揮できた王位戦だったと思います。いま同時進行で挑戦中の王座戦5番勝負(現在1勝0敗とリード)では、ぜひタイトルを奪取して無冠を返上してほしいと願っています。
ということで、この後の藤井五冠のスケジュールは、9月12日の順位戦(これは来季の名人への挑戦リーグですでに1敗していますのでとても重要なリーグです!)で糸谷八段(33)、23日にJT戦で羽生九段(51)を経て、10月7日に第1局を迎える竜王戦で広瀬章人八段(35)の挑戦を受けることになります。
余裕のあるスケジュールですので、まだまだ進化した藤井五冠を見ることができるでしょう。
私として少し不満なのは藤井五冠が強すぎてタイトル戦が早く終了してしまうことなのですが、藤井クンのタイトル戦の勝率がすごいなどと言っている割には、まことにぜいたくな不満であります。
これから楽しいうれしい2022年秋の将棋シーズンを迎えることになります。