しあわせの径~本とアートと音楽と

読書、アート、音楽、映画・ドラマ・スポーツなどについてさくっと語ります

Netflixで「デップvsハード」を見ました。〇〇〇の法廷内「演技」が愉しめます!

ジョニー・デップアンバー・ハードの裁判ドキュメンタリー「デップvsハード」をNetflixで見ました。

「デップvsハード」は、45分くらいの長さの3エピソードからなるドキュメンタリーですが、私は一気に全編見てしまいました。

この裁判は、2016年に離婚したデップの元妻ハードが、ワシントンポストに寄稿した「自分はデップのDV被害者だった」という記事に対するデップが起こした5000万ドルの名誉棄損・損害賠償裁判でした。(以下「デップ裁判」とします。)

私はすでにYoutubeで、どなたかが和訳文字を入れたこのデップ裁判の長い動画をアップされたのを隅から隅まで見ていたので、審理のもようや判決は知っていたのですが、にもかかわらず、Netflixがこの裁判をどのように料理しているのかを見たくて、実際に見始めたら面白くて、一気見してしまいました。

私は元来、ドキュメンタリーやミステリー小説での法廷ものは好きで、とりわけ裁判の法廷内実写ドキュメンタリーは好んで見る傾向にあります。ですから、このデップの裁判で法廷にカメラ撮影を許可した女性裁判長はとても良い判断をしたと思っています。(法廷での裁判長はとても堂々としていてチャーミングで好感が持てるものでした。)

Youtubeではじめてデップ裁判を目にしたのは、英語の言語だけの法廷内の動画だったので、証言している内容が一切分からなくて、一見しただけだと、か弱い知的な美女がむくつけき男のDVを受けたうえでの損害賠償裁判だいう印象でした(偏見)。

こういった類の男女間のもめ事裁判は、たいてい男が悪くて勝ち目がないはずで、たとえそれがジョニー・デップであっても判決が見えているように思っていました(これも偏見)。

アンバー・ハードを見るのは、そのYoutubeでの法廷内ビデオがはじめてだったので、裁判用におとなしいメイクを施し、第一ボタンまで留めた清楚な白いシャツやブラウスなどを着た楚々とした美女に対するデップが、とても粗野な感じに見えました。

この時点ですでに私は陪審員失格なのですが、そんな陪審員がいても大丈夫なように、ハードの証言の嘘を打ち崩していくデップ側の法廷内戦略は見事なものでした。

カミーユバスケスというデップの弁護士がとても有能で魅力的で、このドキュメンタリーでは取り立ててフィーチャーされてはいませんが、断片的に彼女の魅力も紹介されていました。

このドキュメンタリーは、デップとハードの証言をうまく編集でつないでコンパクトに両者の人間性を浮き彫りにできています。またその証言についてネットで配信している男女のインフルエンサーたちの反応についても巧みに合成されていて、楽しいドキュメンタリーに仕立て上げられています。

ハードが愛したのはデップの名誉や資産で、それらによって自分の後の半生が輝かしいものになるはずだったのに、結婚でそれが完成しなかったことで本性を現したハードの法廷内での「生身の演技」に、ある種の感慨深いものを感じます。

日頃フェミニストを自負する私ですが、清楚でとびきりの美女が「仮面」を外されていく過程が、私としてはとても痛快でありました。

デップ裁判は、TikTokYoutubeTwitterで数百億回という規模で全世界に拡散されたようですが、このたびのNetflixのデップ裁判配信で、さらに要点を外さないコンパクトさと洗練された編集で世界中の人が注目したと容易に想像できます。

これは裁判当事者にとってはなかなか残酷なことで、日本でも裁判の法廷内のようすが動画で配信されるなら、人間の本質というか恥部があんなにさらけ出されるのなら、DVをはじめあらゆる犯罪率は大幅に減少するだろうなと思ったしだいであります。

ということで、世のか弱き男女たちよ、DVは犯罪ですから我慢せず逃げることなく、弁護士事務所に駆け込み、裁判で争いましょう。

toship-asobi.hatenablog.com