しあわせの径~本とアートと音楽と

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ドキュメンタリー映画「知られざるマリリン・モンロー 残されたテープ」を見ました

Netflixで「知られざるマリリン・モンロー 残されたテープ」(The Mystery of Marilyn Monroe: The Unheard Tapes)を見ました。

これは2022年4月にリリースされた101分のNetflixのオリジナルドキュメンタリー映画です。

これを見る前に、アンディ・ウォーホル(1928 - 1987)を扱ったドキュメンタリー「アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ」を見たのですが、1話が1時間前後もある6話全編が彼の交友関係の話が中心で期待外れでした。生前のジャン=ミシェル・バスキア(1960 - 1988)やキース・ヘリング(1958 - 1990)の貴重な映像がたくさん含まれていたのですが、ウォーホルも含め彼らの芸術が語られることは少なくて、私には長くて退屈なドキュメンタリーでした。

そんならと、おすすめに並んでいたマリリン・モンロー(1926 - 1962)のドキュメンタリーはどんなんかなーと「知られざるマリリン・モンロー」を見始めたのですが、こちらはよい出来で、哀しみの大女優の生涯と彼女を取り巻く人たちと彼女を利用したセレブたちが、生身の姿や声で今によみがえります。

副題にある「残されたテープ」というのは、1980年代からマリリン・モンローの死の真相をつきとめようとしていた(実際に書籍にしている)アイルランドのドキュメンタリ作家アンソニー・サマーズが1000人にインタビューしたテープです。その残されたインタビューテープをもとに、この映画を再構築しています。

インタビューの音声はすべて当人たちのもので、この映画では当人に扮した俳優たちが音声に合わせて演技をして違和感のない臨場感を持たせています。

インタビュー当時(1980年代)は、モンローの死後20年も経っているからでしょうか、サマーズの質問に答えた人たちの声が彼女のことを愛おしむような表情を見せていて印象的でした。

たとえば、マリリンの主治医だった精神科の医師は、彼女が家族に捨てられた生い立ちから家庭的な愛が精神的支えとなると診断し、家族ぐるみで彼女をサポートしていたことが残されたテープでうかがい知ることができます。

医師の妻や娘や息子たちが、本当の姿に近い生前のマリリンのことを語ったり、名前は明かさなかった要人との関係で悩んでいたことを語っています。その要人とは、ジョン・F・ケネディ(1917 - 1963)かロバート・ケネディ(1925 - 1968)か、あるいはその両方だということは周知の事実ですが...。

マリリン・モンローの死の原因は、公的には薬の過剰摂取による事故と自死のどちらかとされていて、それを信じてこの映画を見る人は少ないのかもしれませんが、彼女の生前の映像もふんだんに取り入れられていますので、「早送り」ではなくじっくりと楽しんで(悲しんで)いただきたいと存じます。

 


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