昨日(1月17日)は第170回芥川賞・直木賞の発表があり、
芥川賞は九段理江(33)の「東京都同情塔」に、
直木賞は万城目学(47)の「八月の御所グラウンド」
河﨑秋子(44)の「ともぐい」
にそれぞれ決まりました。
九段理江は2度目のノミネートでしたが、すでに新人登竜門をいくつかくぐっている実力者で、文學界新人賞(2021年)芸術選奨新人賞(2023年)野間文芸新人賞(2023年)に続く受賞となりました。
万城目学は2006年の「鴨川ホルモー」がベストセラーになったすでに著名な作家だったのですが、文学賞と縁遠くて「八月の御所グラウンド」での6回目の候補入りでようやく受賞しました。
河﨑秋子は2度目のノミネートで、15年に作家デビューしてすでに大藪春彦賞や新田次郎文学賞などの実績がある実力者。私は4年前に「土に贖う」(新田次郎賞)を読み彼女のファンになりました。
芥川賞と直木賞、三島由紀夫賞と山本周五郎賞を到達点とする作家デビューの最初の登竜門に「応募新人賞」があります。九段理江も昨年の野間文芸新人賞を受賞していますし、第168回芥川賞を受賞した石川沙央は「ハンチバック」で文学界新人賞も受賞していました。
ということで、2023年度の応募新人賞の受賞者(&応募総数・選考委員など)一覧を以下に記します。
各賞の応募総数を見ると、とんでもない作品数で、最終選考に至るまでの第一次選考や第二次選考を担当する下読みの方々は大変なんだろうなと感謝するところです。
2023年 文学賞(◆純文学、◆大衆文学)
▼公募新人賞▲
第128回(2023年度) 応募総数2229篇
市川沙央 「ハンチバック」
〇選考委員;青山七恵、阿部和重、金原ひとみ、中村文則、村田沙耶香
第66回(2023年度) 応募総数1986篇
村雲菜月 「もぬけの考察」
夢野寧子 「ジューンドロップ」
〇選考委員;柴崎友香、島田雅彦、古川日出男、町田康、松浦理英子
第60回(2023年度) 応募総数2018篇
小泉綾子 「無敵の犬の夜」
同 短編賞 応募総数4176篇
西野冬器 「子宮の夢」
〇選考委員;柴崎友香・松田青子
◆新潮新人賞 主催 新潮社
第55回(2023年) 応募総数2788篇
伊良刹那 「海を覗く」
赤松りかこ 「シャーマンと爆弾男」
〇選考委員;上田岳弘、大澤信亮、小山田浩子、金原ひとみ、又吉直樹
第47回(2023年) 応募総数890篇
大田ステファニー歓人 「みどりいせき」
〇選考委員;奥泉光、金原ひとみ、川上未映子、岸本佐知子、堀江敏幸
第36回(2023年) 応募総数1150篇
逢崎遊 『遡上の魚』
水無月神野 『我拶もん』
〇選考委員;朝井リョウ、五木寛之、北方謙三、辻村深月、宮部みゆき、村山由佳
第102回(2022年) 応募総数827篇
米原信 「盟(かみかけて)信(しん)が大切」
第69回(2023年度) 応募総数390篇
三上幸四郎 「蒼天の鳥」
〇選考委員;綾辻行人、新井素子、京極夏彦、月村了衛、柴田よしき
第39回(2023年) 応募総数1246篇
西村亨 「自分以外全員他人」
第64回(2023年)応募総数1224篇
須藤古都離「ゴリラ裁判の日」
第65回(2023年) 応募総数854篇
金子玲介「死んだ山田と教室」
〇選考は講談社編集者、応募はWebのみ
以上