しあわせの径~本とアートと音楽と

読書、アート、音楽、映画・ドラマ・スポーツなどについてさくっと語ります

#ブックレビュー

多才な著者のサクッとした日常/長嶋有の「ルーティーンズ」

ルーティーンズ 長嶋 有 (著) 講談社 複数の週刊誌の書評にあった「ルーティーンズ」。グリーン単色の表紙がかえって目立っていて、書評は読まずに本書を読もうと思った一冊。 著者の長嶋有が何歳で男なのか女なのかもまったく知らずに読み始めたら、これは…

愛ある慈しみの物語「ザリガニの鳴くところ」

ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ (著) 友廣純 (翻訳) 早川書房 幼くして家族に見捨てられ社会から蔑視された「湿地の少女」カイアの生涯の一部始終が描かれる。 6歳で家族に捨てられ、カイアは以後ひとりで暮らしていくことになる。ノース・カ…

一穂ミチの「スモールワールズ」にじんわりと圧倒されます

スモールワールズ 一穂 ミチ (著) 講談社 一穂ミチの「スモールワールズ」は、直木賞の候補にもなったし、その前から多くの書評に取り上げられていて高い評価を受けていた。「小説現代」に連載された短編が本書として2021年4月に上梓されていて、ようやく年…

矢部太郎の「ぼくのお父さん」でデトックス

ぼくのお父さん 矢部太郎 (著) 新潮社 「大家さんと僕」「大家さんと僕 これから」に続く矢部太郎の「ぼくのお父さん」を読んだ。 芸人で漫画家の矢部太郎の父親は、絵本作家のやべみつのりだった。 太郎の家族は、両親と姉の4人家族。やさしくて少し変わり…

「岸惠子自伝  卵を割らなければ、オムレツは食べられない」を読みました

岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない 岸 惠子 (著) 岩波書店 1932年生まれの岸惠子は私の母世代に属するお人で、草笛光子が高校の同級生だったそうで、ハリウッドで言えばエリザベス・テイラーも同年生まれである。ちなみに、マリリン・モ…

「考えて、考えて、考える」藤井聡太と丹羽宇一郎の対談本を読みました

考えて、考えて、考える 藤井 聡太、丹羽 宇一郎 講談社 19歳の藤井聡太と82歳の丹羽宇一郎の対談が「考えて、考えて、考える」という本になった。 丹羽は、藤井と同じ愛知県出身で、伊藤忠の社長・会長を歴任し、民間から初めて中国大使になったお方。その…

直木賞山本賞ダブル受賞・佐藤究の「テスカトリポカ」を読みました

テスカトリポカ 佐藤 究 (著) KADOKAWA 今回は、第34回山本周五郎賞と第165回(2021年上半期)直木賞をダブル受賞した作品、佐藤究(きわむ)の「テスカトリポカ」のご紹介。 山本賞は1988年創設で直木賞は1935年創設のエンターテイメント小説の大きな登竜門…

上間陽子の「海をあげる」が本屋大賞を受賞しました!

2021年の本屋大賞のノンフィクション本大賞に、上間陽子の「海をあげる」が決まったそうです。 ということで、以下に、2021年4月に読了した私のレビューを紹介したいと思います。私のレビュー記事では何だかよく分からないと思いますが、よかったらぜひこの…

今週 書評で取り上げられた本(10/18~10/24 週刊10誌&朝日新聞)全92冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日: 10/29 号 7 冊 更年…

さわやかで柔らかくて鮮やかな松家仁之の「泡」を読みました

泡 松家 仁之 (著) 集英社 今年の春以降、新聞や週刊誌の書評に、待ってましたとばかりにこの作家の新作「泡(あわ)」が取り上げられていた。初めて知った作家の小説を半ば興味本位で読んでみて、結果、本年の私的ベスト3の一つに確定した。 主人公は東京に…

今週 書評で取り上げられた本(10/11~10/17 週刊10誌&朝日新聞)全105冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日: 10/22 号 6 冊 戦争…

今週 書評で取り上げられた本(10/4~10/10 週刊10誌&朝日新聞+ダ・ヴィンチ)全106冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日: 10/15 号 6 冊 心は…

今週 書評で取り上げられた本(9/27~10/3 週刊10誌&朝日新聞)全113冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日: 10/8 号 6 冊 涅槃(…

ミステリー「ロンドン謎解き結婚相談所」を読みました

ロンドン謎解き結婚相談所 アリスン・モントクレア (著), 山田久美子 (翻訳) 創元推理文庫 舞台は戦後まもない1946年のロンドン。戦時中にスパイ活動の訓練を受けていたアイリスと、戦争未亡人で息子を持つ上流階級婦人のグウェン。対照的な二人は、自分たち…

今週 書評で取り上げられた本(9/13~9/19 週刊10誌&朝日新聞)全104冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日:9/24号 6 冊 ねじねじ…

奥深い闇社会に若者はハマる・西尾潤の「マルチの子」を読みました

「マルチの子」 西尾潤(著) 徳間書店 マルチビジネスのど真ん中にいる22歳の真瑠子(まるこ)が主人公の小説のご紹介。 コロナ禍以前、男3人でJR大阪駅周辺でランチの後にカフェで数時間過ごしていると、不思議な集団によく遭遇した。 30~40代くらいの女…

今週 書評で取り上げられた本(8/30~9/5  週刊10誌&朝日新聞)全92冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日:9/10号 6冊 平成史 昨…

今週 書評で取り上げられた本( 8/16~8/22 週刊10誌&朝日新聞)全101冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆朝日新聞:8月21日 28冊 向田邦…

今週 書評で取り上げられた本( 8/9~8/15 週刊10誌&朝日新聞)全24冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆朝日新聞:8月14日 18冊 トヨタ…

今週 書評で取り上げられた本(7/26~8/1 週刊10誌&朝日新聞)全93冊

毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆朝日新聞:7月31日 18冊 星落ち…

ジョン・グリシャムの「無実」が扱った事件のドキュメンタリーを見ました

アメリカはオクラホマ州アイダという町で、1982年に相次いで起きた若い女性の殺人事件を扱ったドキュメンタリー「無実 The Innocent Man」をNetflixで見ました。 この事件を扱った、ジョン・グリシャムが書いた「無実」というノンフィクションを私はかつて読…